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January 2019

January 01, 2019

CAVOK通信 第60号

1月1日各社コラム読み比べ

今年も、1月1日の恒例となった各社の一面コラムの読み比べです。
社説とは違った各社の性格が見られて興味深いです。

〇朝日新聞  天声人語

よく入試に出題されたと話題になる天声人語は、冒頭でノベルリの著書
『進歩』から「窒素の固定法」を引き、この技術の開発により農業が拡大し、
世界の人口増大を支えたことを紹介します。

次に「承」としてこの技術の負の側面である毒ガス開発に言及し、
進歩が一直線ではなく正負に振れることに触れ、昨今の国際社会の
ありようは暴力を提言するという人類の進歩に反するようだと話題を転じ、
言論の自由や、教育を受ける権利、国と国の間の垣根を低くすることが
進歩の礎だとまとめています。

朝日新聞らしいリベラルなまとめ方だと思います。

〇毎日新聞 余禄

余禄は今年も作家シリーズです。昨年は子規でしたが、
今年は吉屋信子の句から始まります。

暦に記された月日はまだ誰にも分からないといった内容の
二つの句を引いて、今年五月の改元に思いを巡らせるという導入です。

それを受け中盤では「平成」の時代に私たちが直面した問題を列挙し、
次の時代に私たちは世界をより良くできるか、価値を引き継げるだろうか
と自問します。

そして結論として、私たちの直面する問題の解決には「広い文明的視野を
必要としているに違いない」と結びます。

身近な「暦」から始まり「平成」を経由して世界史的な視点にまで
話題を持って行く視野の広さは元旦らしくて良いですが、
僕にはちょっとスケールが大きすぎてピンときませんでした。

導入部が良かっただけに惜しい気がします。

〇日経新聞  春秋

経済誌らしく春秋の筆者の関心は、「米中貿易戦争」のようで、
その背景を切り取っています。 まず米国の薬物死の増加と
自殺者数の高止まりを紹介し、「分断の深まりや誇りの喪失」が
白人層の一角を追い詰めていると分析します。

一方で中国については、街頭の監視カメラによって個人の行動を
点数化して行政サービスに反映するという監視社会の例をあげ、
その異様なさまに嘆息します。

ところが、そのような鋭い問題を指摘しておきながら、
「他国の市民をも安堵させてくれるお年玉が欲しい」と
初夢のような願望で結びます。

確かにその感覚は良く分かるのですが、これは国際社会の出来事など
およそ関わりあいのない私たちのような庶民の持つ感想です。

コラムとは言え、天下の木鐸たるオピニオン誌の発言としてはどうでしょう。

別に高尚な意見を述べよとは言いませんが、私はちょっとがっかりしました。

〇産経新聞  産経抄

産経妙は明治に改元される慶応四年の元旦の風景から書き起こし、
歴史の大きな変化の節目に遭遇した庶民の代表として高村光雲を取り上げます。

廃仏毀釈という不遇の時代を生きながらも、挫けることなく学び続け
彫刻の世界で大成した光雲のエピソードを引きながら、
変革の嵐に会いながらも「したたかに乗り越えてきた」
先人のたくましさを見習いたいと結びます。

私たちは、時代の変化を感じながらもどうしようもないというのが
生活の中での実感ですが、少しは勇気が湧いてくるようなコラムだと
思います。もちろん、これで全く不安がなくなるという訳ではありませんが。

〇読売新聞  編集手帳

読売の編集手帳は家族といえども「遥かな縁やゆかり」によって今があり、
新しい時を迎えていくのだということを詩人・石垣りんさんの
『新年の食卓』という詩を引用して論じます。

そして各段落の冒頭の漢字と終章をつなぎ、「平成時代ありがとう」
と読ませます。

平成に感謝し、次の時代に期待するという筆者の意図は明快です。

ちょっと技巧に過ぎるきらいもありますが、なかなか面白い構成です。

〇四国新聞  一日一言

最後に地元紙、四国新聞の「一日一言」です。

まず、今年五月の改元を踏まえて、「平成」の出典を記し、
元号の歴史を簡単に紹介します。そして話題を転じ、
統一地方選や北方領土交渉、オリンピックの聖火リレーなど
今年の大きなイベントを紹介し、60年前の「己亥」の
エピソードにも触れたうえで新年が「明るい未来」の魁
となることの期待を結びとしています。

今年の話題となりそうなことを網羅したオーソドックスな
年頭コラムではないでしょうか。

こうして各社のコラムを見てみると、五月の改元を意識した
話題が多かったようです。

とは言え各社切り口は様々で面白いものでした。
個人的には「産経妙」と「編集手帳」がうまいと思いました。

皆さんはいかがでしょうか。

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