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January 08, 2018

CAVOK通信 第48号

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 1月1日各社コラム読み比べ

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今年も、1月1日の恒例となった各社の一面コラムの読み比べをしてみましょう。
各社の社説とは違った一面が見られて興味深いです。

○朝日新聞 天声人語

 

今年の天声人語は一風変わっています。まず自社ヘリに乗り、空から(だと思うが)京都、
三浦半島、魚津港を訪ね歴史を紐解きます。

まず、京都では権勢を誇った藤原道長の繁栄と没落に思いを馳せ、
三浦半島では幕末の黒船騒動のきっかけとなった英国商船の
来航のエピソードに触れつつ世界のグローバル化に触れます。

そして最後に魚津港では「米騒動」について語り、
社会のひずみは「地方から先に顕在化する」と説きます。

それらのエピソードをふまえ、最後の文章では人の世の営みは今も昔も変わらないが、
今年が将来に希望を与える静かな年であるよう機内から祈ったと結びます。

ちょっと変わった視点から説き起こす割には当たり障りのない結論で、
ちょっと残念な気がします。

さらに本社ヘリ云々の話は余分です。

○毎日新聞 余禄

 

今年も著名な作家の作品とエピソードからはじまります。

昨年は金子みすずでしたが、今年は正岡子規です。

まず子規の新発見の未発表作から説き起こし、有名な「新年の白紙綴じたる句帳哉」
という句を紹介しながら、その白紙の「句帳」に意識を向けます。

そこから新年に準備する白紙の新しいカレンダーや日記へ、さらに白紙のページから
私たちの「歴史」へとイメージを広げる筆の運びは見事です。

ですが結論がどうもしっくりきません。

白紙のページは将来への希望や不安がない交ぜになった気持ちを呼び起こす
ということは理解できます。

ですが白紙のページに書かれた「個々の営みが未来へ向かう大きな時間を
再起動させる年になれば」いいとはどう意味でしょうか。(下線筆者)

○日経新聞 春秋

 

春秋でも著名な歌人の歌を引用しながら論を展開していきますが、
論の展開は「起承転結」のお手本のようです。

冒頭、「ひた」を冠する日本語表現が一途な状態である旨を説明し「ひたくれない」
という語を例示します。

それを受け昭和の歌人・斎藤史の歌
「死の側より照明せばことにかがやきてひたくれないの生ならずもや」
を紹介し、命の輝きを称えた歌人のエピソードを語ります。

転じて中段では天皇陛下の退位により平成が終わることに思いを馳せ、
昭和の記憶が遠くなることを歎じつつも戦争や災害で果てた命に思いを致すことを訴えます。

最後に「栄光も悲惨も虚心に顧みて次の一歩を踏み出」したいと決意を述べ
斎藤史の歌「野の中にすがたゆたけき一樹あり風も月日も枝に抱きて」で結んでいます。

新年にふさわしいコラムだったと思います。

○産経新聞 産経抄

産経妙の冒頭も少々変わっています。

胃と腸が新年の挨拶をしています。
これは明治36年正月に「新聞報知」で連載の始まった
『食道楽』という小説の書きだしです。

つづいて、この小説の内容や、当時空前のベストセラーだったこと、
さらに著者井村弦斎の来歴などを語り、日露開戦の際には英文小説を刊行し
日本の正当性や「武士道」を海外に伝えたというエピソードを紹介します。

「転」の部分では弦斎の「武士道」を受けて新渡戸稲造についても言及し、
セオド・アルーズベルトが愛読者だったエピソードも合わせて紹介しています。

そして、以上の観点から先人に見習い、海外への発信を強く促すよう結びます。
話の展開は非常に分かりやすく結論もその通りなのですが、
当たり前すぎてちょっと読み応えに欠ける気もします。

 

○読売新聞 編集手帳

編集手帳の筆者は、日常の一コマから書き起こすのが得意のようです。

今年は、電車で見かけた年末の挨拶回りに赴く男性社員の風景の描写からはじまります。

この風景から、ふと内田百閒が玄関先に並べて貼った
「世の中に人のくるこそうるさけれ とはいうもののお前ではなし」
「世の中に人のくるこそうれしけれ とはいうもののお前ではなし」
という二首の狂歌を思い出し、両方あるのが人の世の常だ、
そのときは何も言えなかったがコラムでは応援できると語ります。

そして筆者は「市井の悲喜こもごもに寄り添う『編集手帳』でありたい」と
仕事をするに当たっての決意を述べます。

各紙の中で最も短い文章でしたが、心温まるコラムです。


○四国新聞 一日一言


最後に地元有力紙の四国新聞の「一日一言」です。

今年の一日一言は「熱量」が大きいです。

維新に関わった数少ない郷土の勤皇家・日柳燕石を手掛かりに、
廃藩置県の際の他県への編入・分離、オリーブ栽培、ハマチ養殖、
丸亀発祥と言われる女子サッカー、四国の鉄道事業、
国内最古の公募展・県美術展覧会、など維新以降の歴史を概観し
先人の業績を称えます。

そして最後は郷土を思う人達の情熱が新たな地平を開き国を動かすと語ります。

今年は瀬戸大橋かいつう30周年などの周年事業が重なるため
このような内容になったのだろうと思いますが、「熱量」の割には
いささか書生論的な結論です。

こうして各社のコラムを見てみると、今年も詩歌の引用が多くみられました。
僕の感想としては、年頭に読んでみて心に響くのは「春秋」と「編集手帳」。

「一日一言」、「産経妙」、「天声人語」は読みごたえがなく、
「余禄」は今年もピント外れといったところです。

さて、皆さんはいかがでしょうか。

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